理由は聞かない
ついでだから、ふと頭に浮かんだことを実行することにして、車を走らせた。

「いいんだよね?」
「ええ、お任せします。」
「了解。」

いつもの美羽さんの柔らかい笑顔が、少しだけこわばって見えた。

何が変わるわけではないけれど、これでいいんだ。

鏡にうつる自分に、そう言い聞かせた。

1時間後、私の肩はすっと軽くなった。

似合うじゃん。

鏡の中の自分につぶやいた。

帰り道、そっと髪に触れた。肩より上の長さに、心が解放されたような、冷たく寂しいような、いろいろな感情がまぜこぜになった気持ちでいっぱいになった。
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