理由は聞かない
「俺は井田さんのこと、頼ってる。だから、井田さんも、頼ってほしい。」
「…はい。」
「ね。」

声だけなのに、手のひらのぬくもりを感じたような、不思議な気持ちになった。

なんでだろう。イヤな、苦手な人だったのに。

それから少し話をして、電話を切った。

電話を切ってから、ふと先週のことを思い出した。
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