呆れるほど恋してる。
控室では一人の花嫁を早く見ようとせっかちな花婿が姿を現す。
「せりさん。綺麗だね」
「……ありがとうございます」
「なんで、片言?」
笑いながら、彼は彼女を抱きしめて額にキスをする。
そして、頬、首筋と至る所にキスを落としていった。
「……恥ずかしいですよ」
顔を真っ赤にして言うせりを見て、順は嬉しそうに抱きしめる。
「そのウェディングドレスよく似合ってる」
ベールをかぶせ直し、順はせりに微笑んだ。
せりがお気に入りのDVDだと有名な海外ドラマの映画を観ていたところ、順が突然海外に行って買い付けてきたのだ。
頂けないと言ったのだが、もう買ってきてしまったからの一点張りでお言葉に甘える形になっている。
もし子供が出来たら、その子が大人になる時にリメイクして着せてあげようと密かにせりは考えていた。
「ありがとうございます。順さんも素敵です」
照れ隠しをしながら、せりも順に言った。
タキシードが上品な彼にはよく似合っている。
「今日は主役になってください。花嫁さん」
今までの時間を取り戻すかのようにイチャイチャする二人に、会場のスタッフが咳払いをして「そろそろお時間ですよ」と告げた。