呆れるほど恋してる。


「中田順さん あなたは今、川村せりさんを妻とし 神の導きによって夫婦になろうとしています。汝健やかなるとき、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、敬い、慰め遣え、共に助け合い、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」


牧師さんの言葉に順が「誓います」と宣言をする。


夕方、キャンドルが灯し始めた。


参列者たちは、静かに彼らを見守っている。


優しい風が会場を包む。



「川村せりさん あなたは今、中田順さんを夫とし 神の導きによって夫婦になろうとしています。汝健やかなるとき、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、敬い、慰め遣え、共に助け合い、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」


「誓います」


誓う。


そう決めた。


「では誓いのキスを」


そう牧師が言い放つと順が優しくせりにキスをした。


おめでとう!と誰かが言ったのを皮切りに、拍手が沸き起こる。



「ねえ、せりさん」


「なに……?」


「俺の奥さんになってくれてありがとう」


深く抱きしめられる。


幸せだと感じた。


呆れるほど恋をしたけれど、この人に恋が出来てよかったと思う。


諦めなくてよかったと思う。


「順さん」


「何?」


「私の旦那さんになってくれて、ありがとう」


囁くように言うと彼は嬉しそうな顔をして笑った。



Fin

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