呆れるほど恋してる。
店を閉めた後、三山に連絡を入れた。

すると返信は意外と早く「あ、聞いたのね。これからよろしく〜」と何とも言えないほど軽い返事が返ってくる。

いやいや、よろしく〜じゃなくて。

チャンスを与えてくれたことには非常に感謝しているのだが、自分自身の実力で選ばれた気がしなくて不安という名の感情がせりの中を犯していく。


「……どうすればいいんだろう」


不安に駆られ、どうしようもなくなる。


大きな店舗の店長をやるのとは訳が違う。


相手は天下の三山幸平だ。


どこぞの恋愛小説みたいに「キャ。なんで私が！？」展開な訳がない。


自分の一番いけないところだ。


失敗した時のことを考えてしまうのは。

恋愛も同じだ。


チャンスが来ると、失敗した時のことを考えてしまう。


いくつもの恋愛をそれで潰してきた。


変わらないといけないと頭の中で分かっていても、変われない。


相手がコロコロ変わるだけで、何も発展しないのは自分自身が何も変わっていないからだ。


六年間も付き合って来た菜子には絶対言えない話。
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