呆れるほど恋してる。
順の家は都内でも一等地と呼ばれるところにあるマンションだった。
「すご……」
素直な感想を述べると「大したことないよ」と順は言った。
「散らかってるけど」
エレベーターを上がると玄関前に夜景が広がっている。
鍵を開けて、順はせりを中に招き入れた。
部屋に入った瞬間、唇を奪われる。
激しく。
「ごめん、止まらない」
独り言のように順が呟き、服を脱がされた。
首筋にチリっと痛みが走り、キスマークを付けられたのだとぼんやりとした頭の中で考えた。
「じゅ、順さん」
「せりさん。好き」
「……」
「俺。本当にせりさんが好きだ」
再び唇を奪われて、ベッドに運ばれる。
柔らかく肌触りのいいシーツの上に優しく寝かされて、順は優しくせりを包んだ。
私も好きです。
たった一言なのに、言えない。
夜の伽の時間。
愛は交わるが、本物かどうか確かめる術はない。
「せりさん」
優しい麻薬が頭を犯していく。
ああ、きっとこの恋は忘れられない恋になってしまう。
ぼんやりとした意識の中で、せりは順に呆れるほど恋をし始めていた。