呆れるほど恋してる。
「そうなんですね……」
「コラボするとなると、もう一度、セリーヌヴィーナスのデザイナーと三山さんのイメージする商品の共通点を見た方がいいと思うけどね。デザイナーとメイクアップアーティストでしょ。多分、そのうち衝突するよ。両方とも我が強くてプライド高いだろうし、譲れないものもあるだろうからね」
賢二の言葉は最もで、拘りの強い二人の意見の戦わせ場所になっており、置いてきぼりになっている人が何人もいる。
もちろん、せりもそのうちの一人だが。
「ありがとうございます。すごく参考になりました」
「いえいえ。順が一着服を買うって約束で、今日アポイント取ってくれてるしね」
「え?」
「だいぶ、大事にされてるよね。初めてなんじゃない?あいつが女の子にこんなに執着するの」
店の外でタバコを吸ってる順。
気を使って外に出ていたのだろう。
「そんなわけないですよ」
「何でよ?」
「他の女の子とデートしてるから……」
なぜか賢二には正直に言えた。
「あー。あいつはね」
苦笑いして賢二は言う。
何か言いたいけれど、言えない。
そんな表情だった。
「……」
「まあ、本人と腹を割って話す方がいいよ。あいつそういうところ、本当に下手くそだから」
「下手くそ?」
「まあね。じゃあ、一着好きなの選んでよ。値段は気にせずに」
「え、でも……」
「こういう時、甘えないと損だよ」
にっこり笑って、賢二はオススメの服だと何着か取り出した。
黒のラメが入ったワンピースや、白のレースのワンピース。
トップスにスカート。
まるで宝石箱から飛び出してきたような、洋服たちばかりだ。
これを着たら、素敵なところへ足を運びたくなる。
そんな洋服たち。