呆れるほど恋してる。
家に帰ってから死ぬほど後悔した。
なぜあんな場所で年甲斐もなくひどい言葉をぶつけることが出来たのだろう。
洋服を買って、せりの仕事を協力してくれたのは順だったのだ。
彼の仕事の内容くらいであんなひどい言葉をぶつけなくてはもよかったのに。
せりは自分の着ているワンピ―スを眺める。
自分の身体のラインにあったインポートのワンピース。
イギリスのデザイナーが作った。
部屋の中でその洋服を脱いで、タグを見る。
静かにパソコンを開いて、そのタグに書かれている文字を検索した。
すぐに検索にひっかかる。
クリックを押す。
英語で書かれた紹介文。
コンテストで優勝。
イギリスの新しいモダンを開拓したデザイナー。
失恋と新しい出発をするために。
自立した女性を応援するために。
私は、女の人たちに生きていく勇気を与えたい。
そんなコメントが書かれている。
その瞬間頭に浮かんだ。
三山とセリーヌヴィーナスとのコンセプトを融合する方法。
ああ、だめだ。
人を一人傷つけたというのに、どうして仕事のことが頭に浮かんでしまうのだろう。
謝罪の連絡を入れないといけないのに。
手が勝手に動くのは溢れんばかりのアイディアだ。
ノートに書かなくちゃ。
メモをしなくちゃ。
瞳からなぜか涙が溢れた。
でも手は止まらない。
頭から順の顔が薄れていってしまう。
私、最低な女だ。
恋をする資格もない。