呆れるほど恋してる。

次の日は思っていた以上に普通に出勤することができた。

泣きはらした目は、何とか化粧で誤魔化して黒縁メガネで誤魔化す。

食欲はなかった。

今日がミーティングの日でなくてよかったと思う。

順を思い出すから、三山には会いたくなかった。


店には顔を出せないので、本社のデスクを借りて企画書を作る。

新しい店舗もそろそろ下見に行かなくてはならない。


店舗開発部の人が店舗の候補が決まったと言っていた。


やることがたくさんだ。

資料をまとめながら、買ってきたコーヒーを一気に飲み干す。

だいぶ時間が経っていたのですぐ飲み干すことができた。

深くため息をついていると、LINEにメッセージが表示される。

菜子だった。

こういう時友人には救われる。

飲みに行こうという内容だったので、すぐに了承の意を告げた。

今夜は話を聞いてもらおう。

少しくらい逃げてもいいのではないか。

いや、いつまでこの繰り返しなのだろう。

恋して、都合が悪くなったら逃げて。

影で酒の力を借りながら文句を言う。

幸せになっていく人を SNS越しに眺めながら、この不毛なサイクルを終わりしにしたいと願いながら願いだけで終わっていく。

もう二度と顔向もできない。

謝っても許してくれはしないだろう。

今日は本当に会議がなくてよかった。


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