呆れるほど恋してる。
「どうしたいの?」
菜子に優しく問われても、付き合いたいのか正直よく分からなかった。
ここまで関係がこじれてうまくいった試がない。
過去の人と順を一緒にすることがいいことだとも思わない。
だが、怖くて次の一手が出せないのだ。
また同じ結果になったら?
年を重ねる度に臆病になって、身動きが取れなくなる。
自分のかけた罠にはまって、それが相手のせいだと叫んでしまう。
そんなことを何度繰り返したのだろう。
疲弊して傷だらけの心は、相手を傷つけることすら麻痺して泥沼の奥底へ引きずり落とす。
「……わからない」
どうしたいのだろうか。
「……せり。好きなんでしょ?」
「好きだけど……」
「じゃあ、自分の気持ちを殺したら駄目だよ。せりが心の中で思っていること、相手には伝わってないと思う。三山さんが言ってたけど、相手の人は嫌われたと思ってるらしいよ」
詳しくは知らないと言いつつガッツリ内容は把握しているらしい。
個人情報の漏洩だと思いつつも、自分を気遣う友人の言葉にただ泣きながら頷くことしかできなかった。
気持ちが嬉しかった。
「……」
「気持ちが落ち着いたら連絡してごらんよ」
大丈夫だからさ。
「ありがと……菜子」
「お安い御用だよ。友達でしょ」
上手くいくといいね。
そう笑う友人に、せりは泣きはらした目で笑って頷いた。
帰宅してから、せりは順のアドレスを開き電話をかける。
「……」
繋がらない。
だから連絡を一本入れた。
この間はごめんなさい。
お話したいことがあります。お時間がある時、連絡をください。
せり
今夜は剥げたネイルを綺麗にして、パックをしてホットアイマスクをして寝よう。
縁があれば、きっと繋がる。
泣いても喚いても、傷つけてしまった事実には変わりがない。
だからこそ、自分のしてしまった罪を認めて大人しく待つのだ。
状況は変わっていないはずなのに、気持ちは何故だかスッキリしていた。