呆れるほど恋してる。



彼女からの連絡を無視して、3日。


もうそろそろ見放されている頃なんだと思う。


三山は大丈夫から、連絡してみなさいと言っていたけれど、付き合うという選択肢を選べない以上、彼女の傍にいるのはあまりにも軽薄で嘘が多い気がして息がつまりそうだった。


好きだという感情をここまで持て余したことも、今までにない。


ただ、身体の関係を重ねていつものようにさよならだと思っていたのに。


真っすぐな瞳に耐え切れなくなった。


本当は今すぐ抱きしめて、もう一度と伝えてしまえばいいのだ。


それが出来ないままずるずると来たから、これは罰なのだろう。


目の前に出されたチケットを静かに眺めながら、順はただ黙って相手の話を聞いていた。


「あなたにとって、この条件はいい条件のはず。いい返事を期待しています」


流暢なフランス語。


訛りも何もない。


きっとこの結論を出すのに、せりを引き合いに出すのはお門違いだ。


「もう少し、待っていただけますか?」


仕事も恋愛も。


ダラダラしていたら逃してしまうはずなのに。


どうして俺は、いつもこうなってしまうのだろう。



はっきりと出来ない。


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