呆れるほど恋してる。
しばらく沈黙が続いたが、健は突然噴き出して笑い始めた。
「川村さんって見かけによらず、熱血なんだね」
肩を震わせて笑う健にせりは「そんなことないですよ」と首を横に振る。
「いやいや、熱血だよ」
「……」
「褒めてるんだよ。今時珍しいよね。女の人でそんなに仕事一生懸命やってる人」
じゃあ、デザインはこれでいいかとA案の方の図面を健は鉛筆で丸をつけた。
「あの……」
「はい?」
「よろしくお願いします」
せりは頭を下げた。
彼のここからの仕事で、この店舗の命運が半分決まる。
世間の女の子達が喜ぶもの。
それを作り上げ、売り込むのがせりの仕事だ。
「はは。やっぱり熱血」
健は嬉しそうに笑った後「プロの仕事見せてやるよ」と白い歯を見せて笑った。