呆れるほど恋してる。
雨が降る。
自分の誕生日なのに、なんてついていないんだろう。
自嘲気味に苦笑して、せりはビニールの傘をさす。
せっかくの誕生日なのに。
前もってもっとお洒落な傘を買っておくんだった。
アスファルトにできた水たまりを踏まないように歩いていると、自動車が水しぶきを上げて通り過ぎていく。
おろしたてのスカートが泥水でずぶ濡れだ。
黒いスカートだったのが不幸中の幸だと思うことにする。
本当についていない。
順からの連絡はこないまま、期待することも諦めている。
結局身体だけの関係だとこうなるのだ。
肝心な時にどうすることもできない。
自分が悪いのは分かっているが、あんまりな仕打ちではないだろうか。
自分は強引に来たくせに、せりの方から話をしたいと言ったら無視するなんて。
興味がないなら、なぜあんな風にしたのだろうか。
まずそもそも付き合えないって意味が不明だ。
不誠実にもほどがある。
それなのに、なぜ自分ばかりこんな風に苦しむ必要があるのだろう。
「……バカみたい」
小さく自嘲気味につぶやいて、せりはもう一度安いビニール傘を持ち直した。