呆れるほど恋してる。


夜になって目が覚める。


明け方近くまで仕事をしていたため、久々にゆっくり眠りにつくことが出来た。


今日は一体何月何日なのだろうとスマートフォンを確認すると、たくさんの連絡を未読画面が表示されている。


静まり返った部屋の中で、彼女からの連絡に答えていないことに気が付いた。


「……」


一体どのくらい返信をしていなかったのだろう。


日々の仕事があまりにも突然忙しくなって、気が付いたら二週間も経っていたようだ。


この二週間はあっという間だった。


光の速さのようで過ぎ去っていて、誰とどんな会話をいつしたのかさえ曖昧だ。


順は小さく溜息をついてスマートフォンを取る。


せりから入った謝罪の言葉。


二週間も放置して、彼女はまだ覚えていてくれるのだろうか。


今更メッセージを入れても返してくれないだろうなと思い、順は三山に電話した。


彼はすぐに電話に出てくれた。


「順ちゃん!」


「どうも……」


「すごいじゃない!大ブレイクよ!」


テンションが高いまま、彼は嬉しそうに順の功績をたたえた。


「あの……」


「せりちゃんのこと?」


何でもお見通しだと言わんばかりに三山は言う。


「……うん。彼女怒ってる?」


「怒ってるというよりも、泣きつかれて諦めかけてるっていった感じね。見てて痛々しいわ」


真剣そうな声色で言われると何も言い返せなかった。


「ごめん……」


「動く気になったから私に連絡くれたんでしょ?」


「……やっぱり好きなんだ」


「いや、それは彼女に言ってあげなさいよ。今日彼女、新しい店舗の方に1日顔を出してるはずだから」


あたしは自分の仕事のイベントがあるから行けないけどね。


と言って彼は電話を切る。


小さく溜息をついた。


彼女に会いに行こう。


そう思った。


< 77 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop