呆れるほど恋してる。



店の前に来ると、もう中は暗くなっていた。


「……遅かったか」


順は静かに溜息をついた。


出かける間際、仕事の件で二時間もつかまってしまい来るのが遅くなってしまった。


やはりアポなしで会えるほど、世の中甘くはないらしい。


再び三山に電話して聞くのもはばかれる。


「……」


意を決して、彼は彼女の連絡先に電話をかけ始めたが、彼女が電話に出ることはなく静かに立ち去ることを決めた。


明日も仕事がある。


フランスに行くまであと少しだ。


きっと何かのレスポンスがあるのを待つしかない。


自分だって彼女を散々待たせてしまったのだ。


タクシーを拾い、彼は自分の家住所を運転手に告げた。


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