呆れるほど恋してる。



菜子と友香に連れてこられた店は、一見さんお断りの隠れ家のような店。


芸能人たちも御用達のようで、大物芸能人が背後で最近の進出女優と一緒に酒を飲んでいた。


「せり、お誕生日おめでとう」


「おめでとうございます!先輩」


二人から誕生日プレゼントを手渡される。


菜子からは有名化粧品会社の化粧ブラシセットで、友香からはラ・ジェルメイドというフランスから最近進出してきた化粧品ブランドのチーク、リップ、アイシャドウセットだった。


「ありがとう……」


花火のついたケーキプレートの上には「Happy Birthday SERI I hope your hapiness(お誕生日おめでとう せり あなたの幸せを願ってる)」と書かれている。


「写真撮りましょう」


と友香がセルフカメラで写真を撮り始めた。


職業柄流行には敏感なようで、スマートフォンにつける棒状の道具や女子高生に人気の写真機能つきのアプリを使っている。


「何これ、顔違うじゃん」


と笑い声をあげながら菜子が言った。


「最近、昔撮ったプリクラ並みに顔変えるよね」


「プリクラ懐かしい!昔めっちゃ撮った」


「ちょっと!先輩方カメラ見てくださいよ!」


話しながら友香がボタンを押し続けるので、変な表情を浮かべている写真がたくさん撮れる。


それを見てまた笑う。


「27歳にもなって何やってるんだろうね」


せりが「あー、笑った」と呟きながら言うと菜子が「いつになっても変わらないよ」と彼女の肩に手を置いて呟いた。


順から連絡が来ていたと気が付いたのは、はしゃぎにはしゃいだ誕生日会が終了した後だった。


慌てて電話をかけ直したが電話は繋がらなかった。

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