呆れるほど恋してる。
気が付いたら涙が頬を伝っている。
捨てられたわけでもない。
話し合いもしっかりした。
帰ってきたら結婚しようとまで言ってくれている。
その言葉を信じていない訳じゃない。
それなのに、何故こんなにも後悔しているのだろう。
何故こんなにも毎日が暗く見えてしまうのだろう。
何故、食欲もなくなってしまうのだろう。
どうして、何故、こんなにも寂しいのだろう。
面影を見つけただけで、胸が締め付けられるように切なく苦しい。
「ちょっと、礼子ちゃんったら」
三山が慌てたように礼子に耳打ちする。
言葉を聞いた瞬間、礼子がしまったというように口に手を当てた。
「すみません……泣き止みます」
ごめんなさいと謝罪の言葉を吐きだすせりに「泣くのは仕方がないわよ。順ちゃんだもの」と三山が訳の分からない理屈を言った。
仕事を選んだのは自分だ。
彼と一緒に行かないと決めたのは自分だ。
彼がこの国に戻ってきた時に笑っていられるように、自分の社会的なポジションをしっかりと確立できるように。
意思が弱い自分が嫌いだ。