クールな公爵様のゆゆしき恋情
今、アレクセイ様は態度を変え、私を望んでくれています。

強引に抱き締められると私は逆らう事が出来ません。アレクセイ様に惹かれる心を止められないからです。

それでも私は不安なのです。

心のままにアレクセイ様を受け入れられないのは、過去の冷たいアレクセイ様を忘れられないから。この手紙の存在がいつまでも暗い影となって気持ちを沈ませるのです。


フェルザー公爵との結婚をお父様が断らなかったら、私がいくら拒否してもアレクセイ様の妻になる事は避けられません。

手紙に書かれている事が真実で、アレクセイ様に心に決めた想い人が居たとしたら。
また冷たいアレクセイ様に戻ってしまったら。

もう一度アレクセイ様に心を許し、そしてまた突き放されたら私はもう立ち直れないでしょう。今度こそ自分を失ってしまうと思います。

そんな自分になりたくなかったから、アレクセイ様から離れたはずなのに。

私はどうすればいいのでしょうか。

心を決められないまま、私はお父様の部屋へ向かいました。
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