クールな公爵様のゆゆしき恋情
もう日も暮れる時間だと言うのに、お父様は執務室で溜まった仕事をこなしていらっしゃいました。
夕日のオレンジの光が入り込む執務室には、お父様の他に、二人の側近が居て、お父様に何か報告をしながら、一枚の書類を差し出しているところでした。
お父様はそれを受け取り目を通してから、サラサラとサインをし、側近に返します。
そんなやり取りを眺めていると、私に気づいたお父様が笑顔になり、羽ペンを置き椅子から立ち上がりました。
突然訪れた私を、お父様は心良く迎えて下さいました。
途中だった書類を片付け側近を下がらせると、私に部屋の中央のソファーに座る様に言いました。
「お父様、お仕事中に申し訳ありません」
「いや、構わないよ。話が有るのだろう?」
「はい」
「フェルザー公爵との婚約の事か?」
お父様は私の言いたい事を察していたようです。
私は頷くと、言葉を選びながら言いました。
「お父様……なぜフェルザー公爵との婚約をお認めになられたのですか?」
「フェルザー家は我がアンテス家にとって、王家と並ぶ程重要な家だ。それはお前だって分かっているだろう?」
お父様に真っ直ぐ見据えられ、私は小さく頷きながら言いました。
「はい。ですがフェルザー公爵はアレクセイ様です。アレクセイ様とは一度婚約解消しています。それはお父様も認めて下さった事です。それなのにまた婚約だなんて、私には受け入れられませんし、他の家からも何を言われるか分かりません」
夕日のオレンジの光が入り込む執務室には、お父様の他に、二人の側近が居て、お父様に何か報告をしながら、一枚の書類を差し出しているところでした。
お父様はそれを受け取り目を通してから、サラサラとサインをし、側近に返します。
そんなやり取りを眺めていると、私に気づいたお父様が笑顔になり、羽ペンを置き椅子から立ち上がりました。
突然訪れた私を、お父様は心良く迎えて下さいました。
途中だった書類を片付け側近を下がらせると、私に部屋の中央のソファーに座る様に言いました。
「お父様、お仕事中に申し訳ありません」
「いや、構わないよ。話が有るのだろう?」
「はい」
「フェルザー公爵との婚約の事か?」
お父様は私の言いたい事を察していたようです。
私は頷くと、言葉を選びながら言いました。
「お父様……なぜフェルザー公爵との婚約をお認めになられたのですか?」
「フェルザー家は我がアンテス家にとって、王家と並ぶ程重要な家だ。それはお前だって分かっているだろう?」
お父様に真っ直ぐ見据えられ、私は小さく頷きながら言いました。
「はい。ですがフェルザー公爵はアレクセイ様です。アレクセイ様とは一度婚約解消しています。それはお父様も認めて下さった事です。それなのにまた婚約だなんて、私には受け入れられませんし、他の家からも何を言われるか分かりません」