クールな公爵様のゆゆしき恋情
お茶の支度をしてくれたアンネが部屋から出て行くと、アレクセイ様が言いました。

「夕食の席に居なかったから心配した……気分が良くないのか?」

昼間あんな事が有ったと言うのに、アレクセイ様は平然としている様に見えます。

私と違い、気まずく感じている様子も、照れている様子もないのです。

混乱して悩んでいるのは私だけなのでしょうか。

「明日はレオン達が戻って来る。その前にラウラと話しておきたかった」

考えている事は同じだったようです。
私は頷いて言いました。

「私もアレクセイ様にお聞きしたい事があります」

「分かった。それならラウラから言ってくれ」

「はい……あの、アレクセイ様が私との結婚を望んで下さっている事は分かりました。ですが信じられないのです。王都にいる頃アレクセイ様は私を避けていました。それなのに急に私と結婚する気になったのはどうしてなのでしょうか? アレクセイ様には他に想う人がいらっしゃったのではないのですか?」

聞くのには勇気が必要でした。
真実を知らなくては先には進めません。ですが私は答えを聞くのが怖いとも思っているのです。

アレクセイ様は考えを纏めているのか、少しの間を置いてから口を開きました。

「ラウラが俺を信用出来ない気持ちは分かる。ここ数年の俺は誰が見てもラウラを蔑ろにし、辛くあたっていたからな」

少し胸が痛くなりました。
アレクセイ様は私へ酷い態度をとっている自覚が有ったのです。
分かっていて、突き放し続けたのです。


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