クールな公爵様のゆゆしき恋情
親友と兄の帰還
お兄様とエステルが無事アンテス城へ戻って来ました。
領民やお城の人達の歓迎を受けて、二人はとても幸せそうに見えました。
お母様が、王都からの旅で疲れているでしょうから、自分達の部屋で早めに休む様に言った為、まだ二人と落ち着いてお話をする事が出来ていません。ですが、二人はこれからはアンテスで暮らすのですから、焦らなくても大丈夫ですよね。
今夜は、二人の結婚の宴です。
一月前から準備を進めていましたし、夜会やお茶会が大好きお母様が、抜かりがないか最後の確認をしましたので、素晴らしい宴席になると思います。楽しみで仕方有りません。
午後になると私はアンネに手伝って貰い、自分の身支度を始めました。
今夜身に纏うドレスは、マダム・ベルダに仕立てて貰った青色のドレスです。
肩を大きく開けたデザインで、胸元には沢山の真珠が飾られています。
深い紺の繊細なオーガンジーのスカートは歩くとヒラヒラ揺れてとても美しいです。髪は結い上げて、真珠で飾っていきます。
そのままでは寂しい首元にはサファイアのネックレスを選びました。本当はおばあ様のルビーのネックレスを付けたかったのですが、ドレスの色合いと合わない為、諦めました。
私は鏡の前に立ち、自分の姿をじっと眺めました。
王都に居る頃は自分に少しも自信を持てずにいました。アレクセイ様の周りにいる華やかで洗練された令嬢達に引け目を感じてしまっていたのです。
ですが、今はそんな気持ちにはなりません。このドレスだって想像よりずっと似合っているなと感じるのです。
そうしている内に、アンネが私を呼びに来ました。
「お嬢様、フェルザー公爵がお待ちです」
「今、いきます」
私は足取りも軽く、部屋の扉へ向かいます。
今夜、私のエスコートはアレクセイ様がつとめて下さいます。