クールな公爵様のゆゆしき恋情

湖の屋敷へ

朝、とても早くに目が覚めました。

昨夜の出来事がショックだったからでしょうか。久しぶりにアレクセイ様の夢を見ました。

何時もの様に幸せだった頃の夢では有りません。初めて拒否される悲しさを覚えた日の事でした。

ベッドから起き上がり、窓辺に立ちます。
カーテンをめくると、外は朝の爽やかな光に満ち溢れていました。

湖のお屋敷に帰りたい。

そう思いました。アレクセイ様のいるこの城に居ては心が休まりません。
正直に言えばここから逃げ出したくて堪らないのです。アレクセイ様の顔を見たくないのです。

私は身支度をすると、アンネに書置きをして部屋を出ました。

馬を用意して貰う為、西の厩舎に向かいます。
リュシオンに頼めば一番話が早いのですが、アレクセイ様がリュシオンの事を気にしていたのを思い出すと、気が引けてしまいます。

だからリュシオンが普段居る東の詰所と、反対側の厩舎に向かってる訳なのですが……。

アレクセイ様が私を好きだと言ったのは仕方なくだったと昨夜分かったはずなのに、どうして私はアレクセイ様に気を遣ってしまうのでしょうか。

「……馬鹿みたい」

自分が情けなくて思わず呟くと、厩舎からリュシオンが出て来ました。

避けようとしていたリュシオンにあっさり遭遇してしまった事に驚いていると、リュシオンも驚きの表情を浮かべてから私に駆け寄って来ました。
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