クールな公爵様のゆゆしき恋情
「ラウラ姫。こんな所に一人でどうされたのですか?」

リュシオンが心配そうに尋ねてきます。

「顔色が優れないですね。部屋に戻った方が良いのでは?」

リュシオンは昔から、私が具合が悪いと直ぐに気付きます。他にも私の変化を敏感に察してくれるのです。だから私はいつも頼ってしまっていました。

ですが、アレクセイ様との事は、相談する事が出来ません。

「大丈夫です。湖の家に行きたくて、馬を頼もうと思って来たのです」

「ラウラ姫が自らですか? アンネはどうしたのですか?」

「まだ早い時間ですから。アンネが心配しない様に書置きはして来ましたよ」


リュシオンは何か言いたそうに私を眺めていましたが、諦めた様に言いました。

「馬を用意します」

リュシオンは後からやって来た騎士に、馬の用意を指示してくれました。

「私が護衛に付きます。直ぐに支度をして来ますのでお待ちください」

「待って、護衛は空いている人で構いません。リュシオンは自分の仕事をして下さい」

何時もは居ない西の厩舎にリュシオンが居ると言うことは、何か用事が有ったはずなのです。

私の我儘で邪魔は出来ません。それにアレクセイ様に義理立てしてしまう気持ちが、どうしても拭えません。

「今、アンテス辺境伯令嬢の安全を護ることより重要な仕事は有りません」

「でも……」

躊躇う私にリュシオンが言いました。

「フェルザー公爵閣下を気遣っておいでですか?」

「え?」

どうして、リュシオンがアレクセイ様の事を言い当てられるのでしょうか?
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