クールな公爵様のゆゆしき恋情
お屋敷が見えて来ました。

良かった。皆がしっかりと庭の手入れをしてくれていた様で、特に問題はないようです。
後でゆっくりと見てまわりましょう。

お屋敷の玄関の前でリュシオンに手伝って貰い馬を降りました。

「ありがとうリュシオン」

「いえ……ラウラ姫、その首飾りは先代辺境伯夫人の形見でしたね」

リュシオンの視線は、私の首元のルビーのネックレスに注がれています。

「そうです。お守り代わりに不安な時などに身に着けているんですよ」

アレクセイ様に続きリュシオンまで、なぜかこのネックレスが気になるようです。

「先代辺境伯夫人は、見事な赤髪でしたね」

「そうですね。そのせいかおばあ様の宝石はルビーが多かったんですよ。その影響か私もルビーが好きになってしまいました」

アレクセイ様には似合わないと言われてしまいましたが。

「そうですか……そう言えばラウラ姫。先日の王都滞在の際耳にしたのですが、王都では意中の相手の色の宝石を身に付ける事が流行のようです」

「意中の相手の色?」

「そうです。髪や瞳、その人を印象付ける色です。ラウラ姫なら、銀と紫になりますね」

「……知りませんでした」

半年前まで王都に居たと言うのに、全く聞いた事が有りません。引きこもってばかりだった私が王都の流行に疎かったせいなんでしょうけれど。
< 138 / 196 >

この作品をシェア

pagetop