クールな公爵様のゆゆしき恋情
「相手の色を身に付ける事は元は城下街で流行した事だそうです。それが貴族の間でも流行りだし、宝石を身に付ける形に変化したそうです。自らの色を相手に贈る事も有るそうです」

「リュシオン……随分詳しいのですね」

あまりに意外です。リュシオンはそういった事に感心が無いかと思っていましたから。

「王都で少し話をした令嬢から聞きました」

なるほど。よく分かりました。最高の騎士と名高く容姿も優れたリュシオンは王都の貴族令嬢達からかなり人気が有るのです。

リュシオンに近付いて来た令嬢の誰かに聞いたのでしょう。もしかしてリュシオンの色で有る“赤”を身に付けていたかもしれません。

そう考えている内にふと気が付きました。

もしかしてアレクセイ様もこの事を知っていたのではないでしょうか。アレクセイ様の側には流行に敏感な令嬢達が沢山いました。

だから、このルビーのネックレスの事を気にしていたのではないでしょうか。

ルビーはアレクセイ様の色では有りません。

名ばかりの婚約者と言っても、気分が悪かったのかもしれません。



「ラウラ姫、夕方前にはお迎えに上がります」

リュシオンは、お屋敷の中に入る事はなく、アンテス城へ帰って行きました。
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