クールな公爵様のゆゆしき恋情

心のままに

アレクセイ様は、激しく動揺されています。
そんな風に狼狽するのはなぜなのでしょうか。
アレクセイ様の心が分かりません。
私が心をさらけ出したらアレクセイ様も、本当の気持ちを語ってくれるのでしょうか。

私はもう嘘は嫌です。
望む言葉では無かったとしても、真実を知りたいのです。

「三年前、王都で再開した時から分かっていました。婚約者だけれど、私は少しも愛されていないと。いえ、疎まれ嫌われていると」

「ラウラ、それは!」

「アレクセイ様、聞いてください!」

弁解しようとするアレクセイ様を、私は強い口調で遮りました。
こんな風にアレクセイの言葉を遮った事は今迄に有りません。ですが今はどうしても私の気持ちを言わせて欲しいのです。

私の様子から常とは違うと感じ取ったのか、アレクセイ様は私から手を放し、口を閉ざしました。

「……王都で過ごした思い出は辛い事ばかりです。アレクセイ様に会う事だけを楽しみに王都へ来たのに、アレクセイ様は私の事を遠ざけ、拒否を続けました。顔を合わす度に私はアレクセイ様の冷ややかな拒絶を感じ傷付きました。悲しくて眠れない夜も何度も有りました。それでもなかなかアレクセイ様から離れる決心が付きませんでした」

アレクセイ様は私の言葉をしっかりと聞いてくれている様です。ただその顔色は悪く、焦燥感が滲んでいる様に見えました。

「アレクセイ様と離れた事は私にとって簡単な決意では有りませんでした。本当に辛かったのです。でもやっと心を決めてアンテスで穏やかに暮らしていたのに……アレクセイ様はフェルザー公爵となって私の前に現れました。そして再び私の心を乱し苦しめました。もう……解放して欲しいのです」

切実に訴えると、アレクセイ様は私から目を逸らし手を強く握りしめました。きっと酷く苛立っているのでしょう。でもあと少しですからどうか最後まで言わせて下さい。

そう願いながら私は言葉を続けました。
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