クールな公爵様のゆゆしき恋情
二人して馬車に乗り込むと直ぐに、アレクセイ様に問いかけました。

「アレクセイ様。リュシオンの事、良いのですか?」

私にとって、リュシオンは頼りにしている大切な人です。
ですが、アレクセイ様が気になさるのなら、私が出かける時の護衛は、他の人に変えて貰う事も考えなくてはと思っていたのです。


「今回の事でまたリュシオンには叶わないと思った。ラウラの変化にいち早く気付き、それを俺に知らせるなんて……逆の立場なら俺には出来なかった」

アレクセイ様はしばしの沈黙の後、ハアと大きな息を吐くと、吹っ切った様に言いました。

「ラウラや辺境伯殿があいつを信頼するのが良く分かる。俺も認めない訳にはいかない。あいつは凄いよ。羨ましくも感じる」

「では……」

「でも、ラウラはリュシオンとは今までと、変わらずに接していればいい。俺の事は気にしなくていいから」

「でも、良いのですか? アレクセイ様はリュシオンの事を……」

心配のあまり、念を押して確認する私に、アレクセイ様は、苦笑いをして答えました。

「ラウラが心配するのは無理は無いが、もう大丈夫だ……ラウラが俺を想ってくれている事が良く分かったから」

とても嬉しくなりました。私の想いはアレクセイ様に届いている。信じて貰えているのです。

「私が恋しいと感じるのはアレクセイ様だけです。アレクセイ様も同じ様に想ってくれていると信じてますから」

「ああ。一生信じていいからな」

アレクセイ様は、優しく笑い私を腕に包みます。

温かな腕の中。あまりに幸せで涙が出そうです。

幸せいっぱいの私達を乗せて馬車は進みます。

アンテス城に戻ったら、アレクセイ様とお父様に報告です。

幸せな報告が出来る事を、とても幸せに感じました。
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