クールな公爵様のゆゆしき恋情
私達が気持ちを確かめ合ったあの日の夜。
アレクセイ様と私は、お父様に心を決めた報告をしに行きました。
お父様はとても喜んで下さって、直ぐに私達は正式な婚約者となったのです。
アレクセイ様がアンテスに滞在している間は、離れていた時間を取り戻す様に、沢山の話をしました。
その中で、私の持つ手紙も見せました。
アレクセイ様の持っていた手紙と明らかに共通点がある手紙です。
アレクセイ様はとても驚いていましたけど、その時私に、手紙を仕掛けた犯人を教えてくれたのです。
それは、驚くべき話でした。
アレクセイ様と私の仲を引き裂こうとするかの様に手紙を送って来たのは、アレクセイ様のお兄様。
ベルハイム第一王子殿下だったそうなのです。
アレクセイ様と同じ王妃様を母君に持つ第一王子ルーカス様は、先日次期国王となる王太子として正式に認められました。
ルーカス様はアレクセイ様より三つ年上で、王妃様譲りの、黒髪、黒瞳の孤高な雰囲気を持つ方です。
幼い頃から未来の国王陛下として、第二王子のアレクセイ様に比べ厳しい教育を受けて来たそうです。
そんな方が、あんな陰湿な手紙を出したとは、とうてい思えませんでした。第一、動機が考えつきません。
「兄上は俺とラウラの結婚を阻止したがっていたんだ」
「どうしてですか?」
まるで分かりません。
アレクセイ様は、他言禁止としながら、事のあらましを語って下さいました。