クールな公爵様のゆゆしき恋情
「俺が必死になって、知識を高め剣の腕を磨いていたのは、ラウラにとって最高の夫になりたかっただけなんだけどな。兄上の目にはそう映らなかったみたいだ。手紙の事は証拠を突きつけ追求したからけりがついたが、それからも何かと意識されたからな」

ルーカス様の事ではよほど苦労されたのでしょう。
アレクセイ様は遠い目をして言いました。

「ルーカス様はアレクセイ様の能力に嫉妬されていたのですね。敵わないと思って不安になったのでしょう。それであんな事を……」

「とにかくラウラとの結婚を妨害したかったみたいだな。俺達の様子を見て妨害が上手くいってると調子ついたせいで、俺に証拠を掴まれたんだけどな」

「……話し合いの時喧嘩になりませんでしたか?」

アレクセイ様は当時を思い出したのか、嫌そうに顔を顰めました。

「喧嘩なんてもんじゃない。俺は怒り狂って兄上の所に殴り込んだんだからな。兄上のくだらない工作のせいで、ラウラとの関係は悪化した訳だから許せる訳ないだろ?」

「な、殴り込んだんですか……」

ルーカス様は大丈夫だったのでしょうか。

「まあ話し合う内に、ラウラとの関係が悪くなったのは、俺自身が原因だって気付いたんだけどな。あんな手紙がいくら届いたって、俺がラウラの婚約者として自信を持っていれば、くだらない悪戯と捨て置いていたはずだ。完全に騙されて兄上の思惑通りラウラと距離を置いたのは、俺の心の問題だからな」

「それはそうですね……私もアレクセイ様との関係に自信を持てていたら、手紙の事を直ぐにアレクセイ様に話していたと思います。嫌われていると思っていたから、話せなかったのです」

アレクセイ様も、「そうだな」と頷きました。


ルーカス様の手紙を使った工作は終わったものの、アレクセイ様への牽制はそれからも続いたそうです。

本人はそうは言いませんでしたが、アレクセイ様が私を遠ざけていたのは、ルーカス様の問題も有ったからだと感じました。

ルーカス様が私に直接何かしたらと心配していてくれた様でした。
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