クールな公爵様のゆゆしき恋情
「辺境伯殿。今日は謝罪と頼みたい事が有って訪ねた」
「私に謝罪? なんでしょうか?」
絶対にラウラの事だと分かっているはずなのに、素知らぬ顔をされる。
まさか、謝罪も拒否する気じゃないだろうな?
「……ラウラの事だ。今迄の俺の態度で不快な思いをさせてしまった。申し訳無かった」
辺境伯に向かって頭を下げる。王族の俺が高位とはいえ、貴族の身分の辺境伯に頭を下げるのは本来なら有り得ない事だ。
だがあえて深く頭を下げる。こうすれば、俺の本気が伝わると思ったからだ。
だが何時まで経っても辺境伯の反応はない。
どうしたのかとゆっくりと頭を上げると、辺境伯は胡散臭そうな目で俺を見ていた。
……俺の謝罪、全く効いて無いんじゃないか?
想定外の事態に困惑していると、辺境伯が口を開いた。
「それで私に頼みたい事とは?」
俺の決死の謝罪は無視かよ?
どういう事だ! と詰め寄りたい気持ちを俺は必死に抑える。
今は我慢だ。
ここで短気を起こしたら、ラウラを失ってしまうんだ。
「アンテス家から婚約解消の申し入れが有ったが、取り消しをして欲しい」
その瞬間、辺境伯と、ついでに部屋の端に控える執事から、強い怒りを向けられた気がした。
俺はこの屋敷の人間にすっかり嫌われてしまった様だ。非常に居た堪れない状況だ。
「なぜでしょうか? アレクセイ様はラウラを疎ましく思っていたはずですが。有力貴族の後ろ盾が必要でアンテス家との縁が望みなのでしたら、他家を当たって頂きたい」
「ち、違う! 後ろ盾なんてどうでもいい。俺はラウラとの結婚を望んでいるんだ」
「信じられませんな。この三年、アレクセイ様は徹底してラウラを遠ざけていた。他の令嬢のエスコートはしても、ラウラの手を引く事は無かった。私は娘は王族の妃として恥ずかしくない素養を持っていると思っている。今回婚約解消になった理由は、アレクセイ様がラウラを嫌っていた。ただそれだけでしょう。娘を蔑ろにする様な相手に嫁がせる事は出来ません。よってアレクセイ様の願いには応えられません」
流暢に言われ俺は言葉に詰まってしまう。
辺境伯に押されてどうする。早く言い返さなくては!
焦る俺が発言するより先に、辺境伯が皮肉な笑みを浮かべて言った。
「後ろ盾には、ブロスト公爵家など良いのでは有りませんか? 昨夜、我が娘の前で令嬢への愛を囁いていた事ですしな」
「……! あれは違う……」
「はっきりとこの目で見ましたが」
見てたのかよ!
「私に謝罪? なんでしょうか?」
絶対にラウラの事だと分かっているはずなのに、素知らぬ顔をされる。
まさか、謝罪も拒否する気じゃないだろうな?
「……ラウラの事だ。今迄の俺の態度で不快な思いをさせてしまった。申し訳無かった」
辺境伯に向かって頭を下げる。王族の俺が高位とはいえ、貴族の身分の辺境伯に頭を下げるのは本来なら有り得ない事だ。
だがあえて深く頭を下げる。こうすれば、俺の本気が伝わると思ったからだ。
だが何時まで経っても辺境伯の反応はない。
どうしたのかとゆっくりと頭を上げると、辺境伯は胡散臭そうな目で俺を見ていた。
……俺の謝罪、全く効いて無いんじゃないか?
想定外の事態に困惑していると、辺境伯が口を開いた。
「それで私に頼みたい事とは?」
俺の決死の謝罪は無視かよ?
どういう事だ! と詰め寄りたい気持ちを俺は必死に抑える。
今は我慢だ。
ここで短気を起こしたら、ラウラを失ってしまうんだ。
「アンテス家から婚約解消の申し入れが有ったが、取り消しをして欲しい」
その瞬間、辺境伯と、ついでに部屋の端に控える執事から、強い怒りを向けられた気がした。
俺はこの屋敷の人間にすっかり嫌われてしまった様だ。非常に居た堪れない状況だ。
「なぜでしょうか? アレクセイ様はラウラを疎ましく思っていたはずですが。有力貴族の後ろ盾が必要でアンテス家との縁が望みなのでしたら、他家を当たって頂きたい」
「ち、違う! 後ろ盾なんてどうでもいい。俺はラウラとの結婚を望んでいるんだ」
「信じられませんな。この三年、アレクセイ様は徹底してラウラを遠ざけていた。他の令嬢のエスコートはしても、ラウラの手を引く事は無かった。私は娘は王族の妃として恥ずかしくない素養を持っていると思っている。今回婚約解消になった理由は、アレクセイ様がラウラを嫌っていた。ただそれだけでしょう。娘を蔑ろにする様な相手に嫁がせる事は出来ません。よってアレクセイ様の願いには応えられません」
流暢に言われ俺は言葉に詰まってしまう。
辺境伯に押されてどうする。早く言い返さなくては!
焦る俺が発言するより先に、辺境伯が皮肉な笑みを浮かべて言った。
「後ろ盾には、ブロスト公爵家など良いのでは有りませんか? 昨夜、我が娘の前で令嬢への愛を囁いていた事ですしな」
「……! あれは違う……」
「はっきりとこの目で見ましたが」
見てたのかよ!