クールな公爵様のゆゆしき恋情
「陛下、半年で結果を出します。その際はフェルザー公爵の位を与える事を約束して下さい」

俺の気迫に押されたのか、国王は黙って頷いた。


よし、これで約束は取り付けた。
後は結果を出すだけだ。

何をするかはもう決めている。改善案だけ出して後は他人に任せていた治水工事。あれを俺の手で成し遂げれば広い領土も任せられるとお墨付きを貰えるだろう。

やるぞ! 絶対に成功させてやる!

俺は意気込んで、自分で作った改善原案を机に広げた。

王都に程近い王家直轄領では農業が盛んに行われているが、雨が多く降る時期になると、川が氾濫する事が問題になっていた。

今迄は土手を作り防波堤としていたが、俺は川の更に上流に溜池を作る事を提案していた。それが専門家にも認められ、既に工事は始まっているはずだ。

途中から参加して手柄を取るのは人としてどうかと思うが、今は綺麗事を言ってる場合じゃない。俺には時間が無いんだからな。
それに元々自分の企画だ。

ある程度の見直し作業を終えると、俺は急いで荷物を纏める。

「アレクセイ様? どちらへいらっしゃるのですか? 今夜は王妃様主催の夜会が御座いますが……」

俺の旅支度に目を丸くした侍女が問いかけて来る。

「欠席と伝えておいてくれ。しばらく帰らない」

王族としての公務はさぼるつもりは無いが、夜会など出ている暇は無い。

今は社交より治水工事が重要だ。それに夜会に出てもラウラには会えないしな。
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