クールな公爵様のゆゆしき恋情
「お兄様、レオン、私にも分かる様に話して下さい! 今の話を聞くとお兄様はラウラとの結婚を望んでいる様に聞こえます。どういう事なのでしょうか?」

「……エステルは気にしなくていい」

と言うより、気にしないでくれ。

成行きでエステルにも話を聞かれてしまったが、出来れば妹に自分の恋愛話なんて聞かせたくない。

この気まずい気持ちを察して追及は辞めてくれ。そう願ったがはっきりと意見を言う性質の我が妹には届かず、更に激しく問い詰められた。

「お兄様。ラウラは私の親友でも有ります。たとえお兄様でもラウラを不幸にする事は許せません。何を企んで一度婚約解消したラウラとの結婚を望んでいるのですか?」

「いや、それは……」

「お兄様はブロスト家のデリアと結婚したいのでは無かったのですか?」

違うに決まってるだろ! 今までの会話で気づかないのか?
レオンの嫌味な笑い顔を見ていなかったのか?

「ラウラはこれから幸せになる為、お兄様の事など忘れて前向きに暮らしているんです。余計な事をして惑わさないで下さい」

え……もう俺の事を忘れているのか? いくらなんでも早すぎないか?

「ラウラに必要なのは思いやりを持って支え合える様な信頼出来る相手です。お兄様の様な身分だけの男など必要有りません」

ひ、必要ない? 青ざめる俺に、エステルが止めをさしに来た。

「そうだわ。先ほどお兄様がおっしゃった様にラウラの新しい婚約者にはリュシオンが良いかもしれませんね」

「!……」

がっくりと項垂れる俺を見かねたのか、それまでニヤニヤとしながら傍観していたレオンがエステルに言った。
< 191 / 196 >

この作品をシェア

pagetop