クールな公爵様のゆゆしき恋情
「……それで?」

「気を惹こうとして他の女と仲良くしているところを見せるなんてするなよ。絶対に通用しないからな」

「分かってる」

そのやり方で、既に充分墓穴を掘っているから身に染みている。

「ラウラには少し強引な位攻めて行った方がいいぞ。鈍感なあいつでも疑い様が無い程好意を伝えるんだ」

「……どうやって?」

「とにかく愛してるって言葉にして言い聞かせろよ。お前しかいないんだ!とか結婚してくれ! でもいいんじゃないか? その気持ちを態度に出すのも忘れるなよ?」

「……」

余りにも難易度が高い気がする。今までの関係を思うととても言える気がしない。

いや……でもそんな事を言ってはいられない。フェルザー公爵になった時誓ったんだからな。

俺は同じ過ちは繰り返さない。今度こそラウラを大切にするんだから。

「愛してる」くらい息をする位、自然に言ってやるぜ!

「お兄様、やりすぎは駄目ですよ。気持ちを伝える事は大切ですけど、ラウラが嫌がる様な強引な事は……お兄様聞いていますか⁈」

エステルの言葉を遠くに聞きながら、俺はアンテスでの再会に期待を膨らませていた。
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