クールな公爵様のゆゆしき恋情
ラウラの失恋
私、ラウラ・アンテスは今日失恋いたしました。
ベルハイム王宮の夜会は今夜も華やかに賑わっています。
美しさを競うように色鮮やかなドレスで着飾った令嬢達は、優雅に舞う蝶の様。
その蝶達が集まる大広間でも一際華やいだ一角に、私は一人向かっています。
いつもの事ですがエスコートもなく一人でいる私に好奇の視線が集まります。
私はこれでもアンテス辺境伯の長女で、ベルハイムの貴族令嬢の中でもかなり身分が高い方ですから、本来ならばこの様な状況は有り得ないのです。
ひそひそと囁く声が聞こえてきます。憐れむ視線を感じます。
この様な事はもう何度も経験しています。
その度に私は、悲しくて惨めな気持ちになって、逃げ帰りたくなっていました。
ですが今夜は違います。
周りの視線など、もう気にはならないのです。