クールな公爵様のゆゆしき恋情
「ラウラの意志? アレクは納得してないだろ?」

お兄様とアレクセイ様は以前から親しくしているので、呼び方が気安いです。私には冷たかったアレクセイ様もお兄様とは楽しそうにしていました。お互い愛称で呼ぶ合う程に。

「お前アレクとちゃんと話し合ったのか?」

「いえ。国王陛下の許可を頂きましたし特には……最後に、アンテスに帰るのでもう会わないですねとは言いましたけど」

そう言うとお兄様はなぜか頭を抱えてしまいました。どうしてお兄様がこんなに悩んでしまうのでしょうか?

「なんでアレクとの結婚が嫌になったんだよ、昔は仲が良かっただろ? しかも話し合いもしないで一方的に婚約破棄だなんてお前どれだけ鬼なんだよ」

「お兄様、鬼はひどいです。確かに話し合いはしていませんけどアレクセイ様の方こそ婚約解消を望んでいたんですよ」

「は? そんな訳ないだろ?」

お兄様は思い切り眉をひそめます。

銀髪に、鋭い印象を与える紺紫の瞳。
鍛えられた身体に軍服を纏ったお兄様は見た目は高位貴族の武官なのですが、口を開くと貴族らしさの欠片も有りません。
日頃からアンテスの騎士の皆さんと無茶な特訓ばかりしているせいで、荒々しくなってしまったのでしょうか?

「おい、聴いてるのか?」

「はい聞いています。でもアレクセイ様が私との婚約解消を望んでいたのは本当です。本人がはっきりと言ったのですから間違いありません」
< 22 / 196 >

この作品をシェア

pagetop