クールな公爵様のゆゆしき恋情
「ラウラ、向こうに湖が見えるわ! 湖面がキラキラとしていてとても綺麗ね」

エステルが感嘆のため息を吐いています。

私はアンテス領の景色は見慣れていますのでエステル程の感動は無いのですが、湖に関しては真剣にその様子を窺いました。

アンテスのお城から少し西。それ程離れていない平坦な土地に小さな湖があります。
青の水面と茶色い大地。背の高い緑の樹々。

その畔の小さなお屋敷がアンテス家の別宅。今後私が住もうと思っている家なのです。3年ぶりですが、以前の記憶通りの光景に私はホッと胸を撫で下ろしました。

あの辺りの土地が荒れていたり、開拓されていたりすると私の計画が崩れてしまうのです。
何も変わっていないとお父様から聞いてはいましたが、実際見るまでは少し心配だったのです。

安心すると私は馬車の中で身体を楽にして馬車の揺れに身を任せ、お城への到着を待ちました。




程なくしてアンテス城へ到着しました。

馬車は更に速度を落として、大きな城門を通り抜けます。

そこから少し進んだ広場で、馬車はゆっくりと止まりました。

馬車の扉が開きます。待ち構えていたのはお兄様でした。お兄様は恭しくエステルの手を取り、馬車から降りる手助けをするとお城の中へとエスコートします。

薄情な事に、妹の手助けをするつもりは無いようで、私には見向きもしません。

お兄様に期待をするのは諦め、私は自力で馬車から降り、お兄様とエステルの後に続きました。
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