クールな公爵様のゆゆしき恋情
「ラウラお嬢様、お帰りなさいませ」

「皆さん、ただいま帰りました。またよろしくお願いします」

皆さん笑顔で迎えてくれます。昔からとても人の良い人達でしたが今でも少しも変わっていません。
ホッとしながらエステルを紹介しました。

「こちらはお兄様の婚約者のエステル王女です」

事前に連絡はしていましたので皆さん驚きはしませんでしたが、王女様の御前に緊張している様子で深く頭を下げました。

反対にエステルは気さくな笑顔で言いました。

「皆さん頭を上げて下さい。私は今日はラウラの親友としてこちらに遊びに来ているのだから気楽にしてね」

見た目は王女そのものなのに気取った所が無いエステルはここでも人々の心を掴んでいました。

正式な結婚をしたら次期辺境伯夫人になるのですから、使用人の皆さん上手くやって行く事はとても大切な事なのですが、エステルなら心配は無さそうですね。


「王女様、ラウラお嬢様、ご案内致します」

おばあ様が主で有った頃から屋敷の全般の管理をしてくれているトーマスが、案内をしてくれました。

両開きの玄関の先にはホールが有ります。王都の貴族のお屋敷に比べると広くは有りませんが、温かみの有る木の色の調度品が配置され清潔に掃除がされている、居心地の良い空間になっています。
私が暮らすようになったら、おばあ様が居た頃の様に沢山の花を飾りたいと思います。

1階には食堂と居間と応接室。それから住み込みの使用人の部屋が有ります。

2階には寝室と客室が有ります。私は湖に面した一部屋を自分の部屋に使う事に決めました。家具などは最低限必要なものをアンテスの城から運びこみ、他は気に入ったものをじっくり選んで揃えていけばいいでしょう。

ここにも花を飾りたいと思い、窓に近付き庭を見下ろしました。

今は茶色い土しか見えませんが、以前は沢山の花が咲いていました。

花に囲まれて暮らしたいとおばあ様が育てていたものです。

エステルと庭に降りて辺りを散策しました。

湖へも行ってみます。

湖畔の屋敷と言っても歩くとそれなりに時間がかかります。その間は味気ない景色でこれといって目を惹くものが有りません。
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