クールな公爵様のゆゆしき恋情
「ここにも花を植えてみようかな」
そう呟くとエステルが怪訝な顔をしました。
「ラウラが?」
貴族の娘は庭仕事などしないのが普通ですから、エステルが訝しむのも当然です。私は頷いて言いました。
「おばあ様が花を育てるのが好きだったのです。その影響で私も土をいじるのが割りと好きなんですよ」
さすがに王都ではやりませんでしたけど。
第二王子の婚約者として変な噂が立つのは避けなくてはなりませんし、白い肌が美しいとされていたから日焼けも厳禁でした。
私はアレクセイ様に少しでも美しいと思われたくて、部屋に閉じこもってばかりいました。
あの頃の自分を思い出すとなんとも言えない気持ちになります。
そんな気持ちを切り替えようとあえて明るく言いました。
「花を育てる事ともう一つやりたい事が有ります」
「何?」
「刺繍です。仕事にしたいと思っています」
王都でひたすらアレクセイ様に気を使い引きこもっていた頃、他にする事が無く毎日刺繍をして時間を潰していました。
きっかけはそんな後ろ向きな事でしたが、いつの間にかのめり込んでしまい、今では大好きな趣味になりました。
自分で言うのもなんですが、かなりの腕前になりました。刺繍職人としてやって行けそうな気がするくらいに。
ここで集中して作品を作り、売り込んでみたいと思っています。それで生計を立てて行けたらこの先結婚出来なくても家族に厄介になる事なく生きていけますからね。
好きな事を仕事にして、花を育てながら暮らす。私にとってはとても幸せな日々に思えます。
夢が広がります。
「なんだか……いろいろ考えているのね、結婚以外で」
エステルがしみじみと言います。
「そうですね、将来の事を考える時間は沢山ありましたから」
それはもう何年も。それだけアレクセイ様を追いかけて、辛い現状に悩んでいた年月があると言うことなのですが。
エステルはいろいろと言ってきましたけど、最終的には、
「ラウラが決めた事なら応援するわ」と言ってくれました。
新しい暮らしに希望を持ちながら、今日のところはアンテスのお城に帰ります。
あと半月後にはエステルが王都へ帰ります。見送りをしたら本格的な引越しです。
そう呟くとエステルが怪訝な顔をしました。
「ラウラが?」
貴族の娘は庭仕事などしないのが普通ですから、エステルが訝しむのも当然です。私は頷いて言いました。
「おばあ様が花を育てるのが好きだったのです。その影響で私も土をいじるのが割りと好きなんですよ」
さすがに王都ではやりませんでしたけど。
第二王子の婚約者として変な噂が立つのは避けなくてはなりませんし、白い肌が美しいとされていたから日焼けも厳禁でした。
私はアレクセイ様に少しでも美しいと思われたくて、部屋に閉じこもってばかりいました。
あの頃の自分を思い出すとなんとも言えない気持ちになります。
そんな気持ちを切り替えようとあえて明るく言いました。
「花を育てる事ともう一つやりたい事が有ります」
「何?」
「刺繍です。仕事にしたいと思っています」
王都でひたすらアレクセイ様に気を使い引きこもっていた頃、他にする事が無く毎日刺繍をして時間を潰していました。
きっかけはそんな後ろ向きな事でしたが、いつの間にかのめり込んでしまい、今では大好きな趣味になりました。
自分で言うのもなんですが、かなりの腕前になりました。刺繍職人としてやって行けそうな気がするくらいに。
ここで集中して作品を作り、売り込んでみたいと思っています。それで生計を立てて行けたらこの先結婚出来なくても家族に厄介になる事なく生きていけますからね。
好きな事を仕事にして、花を育てながら暮らす。私にとってはとても幸せな日々に思えます。
夢が広がります。
「なんだか……いろいろ考えているのね、結婚以外で」
エステルがしみじみと言います。
「そうですね、将来の事を考える時間は沢山ありましたから」
それはもう何年も。それだけアレクセイ様を追いかけて、辛い現状に悩んでいた年月があると言うことなのですが。
エステルはいろいろと言ってきましたけど、最終的には、
「ラウラが決めた事なら応援するわ」と言ってくれました。
新しい暮らしに希望を持ちながら、今日のところはアンテスのお城に帰ります。
あと半月後にはエステルが王都へ帰ります。見送りをしたら本格的な引越しです。