クールな公爵様のゆゆしき恋情


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「ここがおばあ様の家よ。見て、沢山のお花が綺麗でしょう?」

初夏の爽やかな日差しの中、咲き乱れる花々の間の小道を歩きながら、私は弾む声で言いました。

おばあ様の花畑は私の大好きで特別な場所です。
でも今日はいつもよりもっと特別なんです。だって大好きな人が一緒なのですから。

楽しい気持ちがどんどん大きく膨らんで行きます。


「あっ、向こうに青い花が有るわ!」

新しい花壇でしょうか? 珍しい青い花を見て思わず走り出した私を呼び止める声がしました。

「ラウラ待て! 走ったら危ない」

振り返った先に見えるのは黄金の煌き。

記憶の中の姿より背の高くなったアレク様が、慌てた様子で駆け寄って来ました。

立ち止まった私の目の前迄来たアレク様は、当たり前の様に手を繋いで来ます。

その手は力強いけれど、以前と同じ様に温かくて私は嬉しくなりました。


アレク様と会うのは王都で別れて以来、7年ぶりです。

私は14歳に、アレク様は15歳になりました。

アレク様との再会は、私が社交界デビューする為に王都の屋敷へ移る15歳の時だと思っていましたから、それより前にアレク様がアンテスへいらっしゃる事が決まった時は、再会の日が楽しみで夜も寝られない程でした。


心待ちにしていた再会の日、アンテスのお城に現れたアレク様は思い出の中のアレク様よりも、ずっと大きく逞しくなっていました。

でも黄金の髪と海の様な青い瞳と、それから大好きな優しい笑顔は昔のままだったので、私は安心して駆け寄ったのでした。
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