クールな公爵様のゆゆしき恋情
「ええと、それでお兄様は私になぜその事を?」

アンテスとしては喜ばしいお話でも、リュシオンを急ぎの使いに出してまで、政治に関わりの無い私に知らせる話ではない気がします。

リュシオンが顔を曇らせました。予想通りこのお話には先があるのですね。しかもあまり良くないお話の様です。

私は覚悟を決めてリュシオンを見つめました。

「……フェルザー公爵がアンテスへ来訪されるとの事です。名目はレオンハルト様の結婚の祝いに参加する為で、しばらく滞在する事になるとの事です」

「そうですか。アンテス家としてはフェルザー家とは友好関係を築いていかなくてはならないのですから、良い事なのではないでしょうか?」

そう言うとリュシオンの表情がますます沈んだものになりました。

「リュシオン、どうしたの?」

リュシオンは小さく息を吐いてから言いました。

「ここからが一番大切な話になります……フェルザー公爵とラウラ姫の婚約の話が出ているそうです。その為、フェルザー公爵との顔合わせを行うので、ラウラ姫にはその心づもりでいる様にと」

え? リュシオンは今なんて言いました? 婚約? この私が?

「……ええっ?」

リュシオンの言葉の意味を理解して、私は高い声を上げました。


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