クールな公爵様のゆゆしき恋情
リュシオンは私の様子を見て心配そうにしていましたが、西の霊峰が日の入りで赤く染まる頃、アンテスのお城へ帰って行きました。
先の事を考えると憂鬱な気持ちになり、力が抜けてしまいます。
でもそうやって落ち込んでいても何も解決しない事は分かっています。
私は侍女のアンネに、フェルザー公爵の情報を集めて欲しいと頼みました。
アンネは私が幼い頃からアンテス家の侍女として働いている為、顔が広いのです。
噂話でも構わないからフェルザー公爵の情報が欲しいと思いました。だって私は公爵の事を何も知らないのですから。
他の貴族達の動向などには、私はあまり興味が有りませんが、自分の婚約者になるかもしれない相手の事はやはり気になります。
落ち着かない気持ちで二日過ごした所で、アンネが報告を上げてくれました。
「フェルザー公爵は未だ謎の人物のようです」
「え、それだけですか?」
「はい。調査の結果です」
「……」
アンネ曰く、フェルザー公爵の正体は謎に包まれているそうです。と言うのも、フェルザー公爵は国王陛下に新公爵に任命された後も、王都に留まったままでまだ自分の領地を訪れた事が無いからだそうです。
通常、国王陛下の命令を受けたら直ぐに新しい領地へ赴任するはずです。なぜ新公爵は王都に留まったままなのでしょうか……理由は分かりませんが、その様な事情からフェルザー公爵の人となりについては、一般の人達には知られていないのです。
ただ、アンテスのお城で働く侍女の話によれば、お母様はこの婚約話をとても喜んでいるそうなのです。
ますます結婚話が固まる可能性が高まりました。
結局大した情報は得られずに私は深い溜息を吐きました。
結婚なんて考えられませんし、リュシオンにも嫌だと言ってしまいましたが、私も頭では分かっているのです。
貴族として生まれた以上は、領地の為、家の為に嫁ぐ。それは義務で有り政略結婚など当たり前の事なのだと。
ただ、アレクセイ様と婚約していた時、私にはその意識が有りませんでした。私にとっては好きな人に嫁ぐ少しの無理も無い自然な事で、結婚とは幸せな事だと感じていました。
でもそれは普通ではなくとても希少な事だったのだと今更ながら痛感します。
私はとても幸せ者だったのです。
先の事を考えると憂鬱な気持ちになり、力が抜けてしまいます。
でもそうやって落ち込んでいても何も解決しない事は分かっています。
私は侍女のアンネに、フェルザー公爵の情報を集めて欲しいと頼みました。
アンネは私が幼い頃からアンテス家の侍女として働いている為、顔が広いのです。
噂話でも構わないからフェルザー公爵の情報が欲しいと思いました。だって私は公爵の事を何も知らないのですから。
他の貴族達の動向などには、私はあまり興味が有りませんが、自分の婚約者になるかもしれない相手の事はやはり気になります。
落ち着かない気持ちで二日過ごした所で、アンネが報告を上げてくれました。
「フェルザー公爵は未だ謎の人物のようです」
「え、それだけですか?」
「はい。調査の結果です」
「……」
アンネ曰く、フェルザー公爵の正体は謎に包まれているそうです。と言うのも、フェルザー公爵は国王陛下に新公爵に任命された後も、王都に留まったままでまだ自分の領地を訪れた事が無いからだそうです。
通常、国王陛下の命令を受けたら直ぐに新しい領地へ赴任するはずです。なぜ新公爵は王都に留まったままなのでしょうか……理由は分かりませんが、その様な事情からフェルザー公爵の人となりについては、一般の人達には知られていないのです。
ただ、アンテスのお城で働く侍女の話によれば、お母様はこの婚約話をとても喜んでいるそうなのです。
ますます結婚話が固まる可能性が高まりました。
結局大した情報は得られずに私は深い溜息を吐きました。
結婚なんて考えられませんし、リュシオンにも嫌だと言ってしまいましたが、私も頭では分かっているのです。
貴族として生まれた以上は、領地の為、家の為に嫁ぐ。それは義務で有り政略結婚など当たり前の事なのだと。
ただ、アレクセイ様と婚約していた時、私にはその意識が有りませんでした。私にとっては好きな人に嫁ぐ少しの無理も無い自然な事で、結婚とは幸せな事だと感じていました。
でもそれは普通ではなくとても希少な事だったのだと今更ながら痛感します。
私はとても幸せ者だったのです。