クールな公爵様のゆゆしき恋情
フェルザー公爵との対面用のドレスを作る為、お城にアンテス一と評判の仕立て屋の女主人、マダム・ベルダを招きました。
マダム・ベルダを応接間で侍女のアンネと共に出迎えた私は、彼女の持ち込んだ沢山の見本生地を前に早速途方にくれているところです。
アンネは色とりどりの絹やレースをうっとりとした表情で手に取りながら、私よりも格段に積極的に選別していきます。
「この青色の生地はお嬢様の銀髪が映えそうでいいですよね。あっ、でもこちらの淡い紫もお嬢様の菫色の瞳に合いそうです。それにこちらのレースもとても綺麗……ああとても決められない! いっその事全部ドレスに仕立ててしまってはどうですか?」
「アンネ、それは無理ですよ」
私はアンネの提案を小声で却下すると、見本生地を手に取りました。
薄紅色のその生地は艶やかな光沢があるのですが、派手過ぎる事はなく上品な印象です。
今まではあまり着た事のない色ですが、お守りにしているルビーのネックレスに合いそうだと思ってなんとなく手に取ってみました。
すると、それまでにこやかに私とアンネのやり取りを見守っていたマダム、ベルダが微笑みながら言いました。
「その生地はラウラ様にとてもお似合いです。私からも推薦させて頂きます」
「そう……マダム・ベルダの推薦なら間違いは有りませんね、ではこれでお願い致します。それからアンネが選んでくれた青色の生地もお願いします」
私は薄紅色と青色と、二着のドレスを仕立てて貰う事に決めました。どちらもデザインはシンプルでと注文し細かい所はマダム・ベルダのセンスに任せる事にしました。
お兄様達のお祝いの席での1着と、フェルザー公爵との対面用の1着。あとは王都で作った手持ちのドレスが有りますので、私の衣装については問題はないでしょう。
そうして着々と準備を進めていたある日、アンネと、お父様の側近のクレメンスが慌てた様子でやって来ました。
その時私は結婚祝いの招待客のバイロン子爵夫人と、アメルダ男爵夫人が諍いを起こしたとの噂を聞き、席次の変更を検討していたところでした。
マダム・ベルダを応接間で侍女のアンネと共に出迎えた私は、彼女の持ち込んだ沢山の見本生地を前に早速途方にくれているところです。
アンネは色とりどりの絹やレースをうっとりとした表情で手に取りながら、私よりも格段に積極的に選別していきます。
「この青色の生地はお嬢様の銀髪が映えそうでいいですよね。あっ、でもこちらの淡い紫もお嬢様の菫色の瞳に合いそうです。それにこちらのレースもとても綺麗……ああとても決められない! いっその事全部ドレスに仕立ててしまってはどうですか?」
「アンネ、それは無理ですよ」
私はアンネの提案を小声で却下すると、見本生地を手に取りました。
薄紅色のその生地は艶やかな光沢があるのですが、派手過ぎる事はなく上品な印象です。
今まではあまり着た事のない色ですが、お守りにしているルビーのネックレスに合いそうだと思ってなんとなく手に取ってみました。
すると、それまでにこやかに私とアンネのやり取りを見守っていたマダム、ベルダが微笑みながら言いました。
「その生地はラウラ様にとてもお似合いです。私からも推薦させて頂きます」
「そう……マダム・ベルダの推薦なら間違いは有りませんね、ではこれでお願い致します。それからアンネが選んでくれた青色の生地もお願いします」
私は薄紅色と青色と、二着のドレスを仕立てて貰う事に決めました。どちらもデザインはシンプルでと注文し細かい所はマダム・ベルダのセンスに任せる事にしました。
お兄様達のお祝いの席での1着と、フェルザー公爵との対面用の1着。あとは王都で作った手持ちのドレスが有りますので、私の衣装については問題はないでしょう。
そうして着々と準備を進めていたある日、アンネと、お父様の側近のクレメンスが慌てた様子でやって来ました。
その時私は結婚祝いの招待客のバイロン子爵夫人と、アメルダ男爵夫人が諍いを起こしたとの噂を聞き、席次の変更を検討していたところでした。