クールな公爵様のゆゆしき恋情
「ラウラ様?」

クレメンスが戸惑った様子で私の様子を窺っています。

私の言葉を待っているのだと気付き、急いで二人に指示を出しました。

「と、とにかくフェルザー公爵様をお迎えする支度をしなくてはいけません。部屋は予定していたところを使って頂いて。警備の皆さんにも伝えなくては。公爵様が突然いらっしゃったら驚いてしまいますから」

「承知致しました」

二人は私に礼をすると、慌しく部屋を出て行きました。

考えたい事は沢山ありますが、私もゆっくしている暇はありません。

私自身準備もしなくては。

幸いな事に新しく仕立てたドレスは出来上がっています。
急ぎで仕上げてくれたマダム・ベルダに感謝しなくては。



それにしても、フェルザー公爵はなぜこんなに早くいらっしゃるのでしょうか。
他の招待客はお兄様達の帰還の後、結婚のお祝いの宴の前にアンテス城へ入る方が殆どだと思います。

初対面のフェルザー公爵を、お父様達のお帰り迄の繋ぎとはいえ私にもてなす事が出来るでしょうか。

不安のままそれでも時間は過ぎ、遂にフェルザー新公爵との対面の時が訪れました。

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