クールな公爵様のゆゆしき恋情
アレクセイ様はデリア様を侍らせながら、私への文句をツラツラと並べたてました。
それが終ると、今度は私に見せ付ける様にデリア様の細い腰を引き寄せて言ったのです。
「デリアが俺の婚約者だったら良かったのにな」
放たれたその一言は、もう心を決めたはずの私に動揺を与えました。
これが最後だとは分かっていますけど私だって心が有る普通の人間です。痛みと悲しみだけでなく怒りも込み上げて来てしまいました。
今までずっと一方的に酷いことを言われ続けていたのです。最期に一度だけ言い返したい。そんな気持ちになりました。
だから本当は言うはずは無かったのに、ひっそりと去るつもりだったのに、つい口にしてしまったのです。
「アレクセイ様、ご安心下さい。私達の婚約は本日をもって解消されました」
その瞬間のアレクセイ様のお顔は、私が初めてみる驚きと動揺を浮かべているものでした。
信じられないといった様子で目を見開いたまま何も言わないアレクセイ様に、私はニコリと微笑んで言いました。
「私はアンテス領に帰りますのでもうお会いする事は無いかと思います。今までありがとうございました」
アレクセイ様の返事は聞きませんでした。
少し無礼かとも思いましたが未練を捨てるためにも私は勢いよく踵を返し、大広間の出口へ向かって行きます。
それが終ると、今度は私に見せ付ける様にデリア様の細い腰を引き寄せて言ったのです。
「デリアが俺の婚約者だったら良かったのにな」
放たれたその一言は、もう心を決めたはずの私に動揺を与えました。
これが最後だとは分かっていますけど私だって心が有る普通の人間です。痛みと悲しみだけでなく怒りも込み上げて来てしまいました。
今までずっと一方的に酷いことを言われ続けていたのです。最期に一度だけ言い返したい。そんな気持ちになりました。
だから本当は言うはずは無かったのに、ひっそりと去るつもりだったのに、つい口にしてしまったのです。
「アレクセイ様、ご安心下さい。私達の婚約は本日をもって解消されました」
その瞬間のアレクセイ様のお顔は、私が初めてみる驚きと動揺を浮かべているものでした。
信じられないといった様子で目を見開いたまま何も言わないアレクセイ様に、私はニコリと微笑んで言いました。
「私はアンテス領に帰りますのでもうお会いする事は無いかと思います。今までありがとうございました」
アレクセイ様の返事は聞きませんでした。
少し無礼かとも思いましたが未練を捨てるためにも私は勢いよく踵を返し、大広間の出口へ向かって行きます。