クールな公爵様のゆゆしき恋情
「この婚約は無かった事には出来ないのでしょうか?」
その瞬間、アレクセイ様の瞳に強い苛立ちが宿りました。
とても恐い目だと思いました。でもここで怯んでいては駄目なのです。
私は自分を奮い立たせて続けました。
「アレクセイ様の妻に私が相応しくない事はもう充分に分かっていらっしゃると思います。このまま結婚となってもお互いが不幸になるだけだと思うのです」
「相応しくないか……それで?」
アレクセイ様は依然として苛立っていらっしゃいますが、それでも私の話を聞くつもりは有る様です。
「隣国の侵攻に備える為に、フェルザー家とアンテス家が協力し合う事は必須で有り、この婚約が政略的に重要だと言うことは分かっています」
アレクセイ様は意外だと言う様に、片眉を上げました。
「アンテスに戻ってからは隠居生活の様な事をしていると聞いていたが、世間に疎くなった訳ではないようだな」
「え……」
アレクセイ様はこの半年の私の暮らしを知っているのでしょうか。私がフェルザー公爵の婚約者候補だから?
でも、そんなに前からこのお話が有ったのでしょうか?
首を傾げながらも、私は更に言い募りました。
その瞬間、アレクセイ様の瞳に強い苛立ちが宿りました。
とても恐い目だと思いました。でもここで怯んでいては駄目なのです。
私は自分を奮い立たせて続けました。
「アレクセイ様の妻に私が相応しくない事はもう充分に分かっていらっしゃると思います。このまま結婚となってもお互いが不幸になるだけだと思うのです」
「相応しくないか……それで?」
アレクセイ様は依然として苛立っていらっしゃいますが、それでも私の話を聞くつもりは有る様です。
「隣国の侵攻に備える為に、フェルザー家とアンテス家が協力し合う事は必須で有り、この婚約が政略的に重要だと言うことは分かっています」
アレクセイ様は意外だと言う様に、片眉を上げました。
「アンテスに戻ってからは隠居生活の様な事をしていると聞いていたが、世間に疎くなった訳ではないようだな」
「え……」
アレクセイ様はこの半年の私の暮らしを知っているのでしょうか。私がフェルザー公爵の婚約者候補だから?
でも、そんなに前からこのお話が有ったのでしょうか?
首を傾げながらも、私は更に言い募りました。