クールな公爵様のゆゆしき恋情

二人の距離

アレクセイ様とは距離を置く。

そう決めて、対策もしっかりとしたはずでした。

それなのに、私の計画は何一つ上手く行きません。

朝からアレクセイ様と共に朝食をとり、日中も何かと顔を合わせ、夜は夕食と食後のお茶の時間まで一緒に過ごしているのです。

しかも、もう三日も連続で、です。

一体これはどういう事なのでしょう。

私は予定通りに行動したはずです。クレメンスもアンネもアレクセイ様と私が近付かない様に上手くやってくれていたはずでした。

ですがその対策が通用したのは初めの一日だけでした。二日目からは朝食前にアレクセイ様からの呼び出しがかかり、それから多くの時間を 一緒に過ごしているのです。

誤魔化して逃げようとしてもアレクセイ様には通用しません。王族出身の公爵閣下であるアレクセイ様には逆らえないからです。「ここに居ろ」と強く命令されるとどうしようも無いのです。

アンテス家に仕えてくれている騎士や侍女達は、アレクセイ様が私に危害を加える様な事が有れば助けてくれるでしょうが、食事やお茶に誘う事を止める人は誰も居ません。

リュシオンが居れば違ったかもしれませんが、残念ながら彼は今お父様達の護衛中なのです。
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