クールな公爵様のゆゆしき恋情
「どれがいい?」

「えっ? あの、私は結構です。アレクセイ様はお召し上がり下さい」

周りの人達に聞こえない様に小声で答えます。

アレクセイ様は何か言いたそうにしながらも、白身魚の香草焼。レモンソースかけ。フライ等数種類を頼みました。

少し待っただけで料理は出来上がり、それを受け取ったアレクセイ様は私に付いて来る様に言うと、広場の西側へと移動し始めました。

しばらくして二人がけの石造りの椅子を見つけると、アレクセイ様はさっさと腰掛け私にも言いました。

「ラウラも座れ」

服が汚れてしまわないでしょうか。少し心配しながらも言われた通りに腰掛ます。

私が落ち着くと、アレクセイ様は先ほど買った白身魚のお料理の箱を開きました。

とても良い匂いが辺りに漂います。

箱の中には綺麗な焼色が着いた魚が……すごく美味しそうです。

思わず目を奪われていると、アレクセイ様は私にフォークを差し出しました。

「ラウラも食べろ」

「いえ、私は……」

「無理するな。食べたいって顔に書いてあるぞ」

「そ、そんな事は有りません」

本当はアレクセイ様のおっしゃる通りなのですが、はっきり言われると居たたまれなくなります。

王都でアレクセイ様を慕い取り巻いていた高位貴族の令嬢方は、あまり食事をされませんでした。

細いウエストが美しいとされている事も有り、皆さん体型の維持にかなり気を配っていたのです。そういう私も、随分と気を使っていたものです。アレクセイ様に少しでも良く思って貰いたい一心で。
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