クールな公爵様のゆゆしき恋情
アレクセイ様に引っ張られひたすら走り、いろいろな道を駆け抜けました。

私はもうどこを走っているのか分からなくなっていたのですが、気付けば北の広場へ戻って来ていました。

広場には相変わらず沢山の人達が居ますが、勢い良く走って来た私達を気にする人は居ないようです。

後ろを振り返り目を凝らしましたが、先ほどの男性達が追いかけて来る様子は有りませんでした。

漸く緊張が抜けた私は、はあと大きく息を吐きました。

つ、疲れました。

いつ追いつかれるか分からない恐怖の中で沢山走ったのです。普段から走りなれていない私にはかなり辛いです。喉もカラカラとしてしまって痛みます。

アレクセイ様はぐったりする私の手を引き近くの屋台へ行くと、飲み物を二つ買いました。

それから広場の端へ私を連れて行くと、芝の上に空いている空間を見つけ私に座る様に言いました。

芝の上に直接座るなんて普段なら躊躇ってしまいますが、今はそんな事を気にしている余裕は有りません。

力尽きた私はその場に大人しく据わりこみました。

「大丈夫か?」

アレクセイ様は私の前に座ると、心配そうな顔で言いました。

体力気力共に殆ど残っていない私とは対照的に、アレクセイ様は涼しい顔で余裕の態度です。
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