クールな公爵様のゆゆしき恋情
「そんなに命令されたいなら言ってやるよ。いいか、今後絶対に危ない真似はするな。特にさっきみたいに俺を庇おうなんて事は絶対にするな、分かったな」

一気にまくし立てられて私は呆気に取られてしまったのですが、アレクセイ様の言葉の意味が頭に入って来ると、首を横に振りました。

「申し訳ありませんが、そのご命令には従えません。アレクセイ様が危ない目に合うのを見過ごす事なんて出来ません。いざという時は私が盾になってお守りする覚悟です」

「は? なんでお前が俺を守るんだよ!」

「何でと言われましても、それが貴族の努めかと。特に私は国と王家を守る辺境伯の娘ですから」

「駄目だ! その考え方は捨てろ」

アレクセイ様に全否定されてしまいましたが、では私はどうすれば良いのでしょうか。
いざという時アレクセイ様を置いて自分だけ逃げたりしたら、私は一生後悔すると思います。


ですが、よく考えみれば私がアレクセイ様と二人で出かける機会はもう無い気がします。
お父様がお戻りになられたら婚約の話は白紙に戻して頂くのですから。
でしたらここは頑固に逆らうより、ご命令に従った方が良いかもしれません。

「これからも二人で出かける事は有るんだからな。ラウラは絶対に無理はするなよ」

「二人で? ど、どうしてですか?」

頭の中でかん考えていた事と真逆の事を言われてしまい、私は驚き高い声を上げました。

「どうして私がアレクセイ様と出かけるのですか?」

「結婚するんだから当たり前だろ?」

「結婚って……アレクセイ様はどうして私と結婚をするおつもりなのですか⁈」

本当に愛する人と結婚して幸せになりたいとは思わないのでしょうか。
どうして諦めて望まない結婚をするつもりでいるのでしょうか。

「どうしてって……少しは察しろよ! 前から思っていたがお前って相当鈍感だよな」

「そ、そんな事は有りません」

久しぶりにアレクセイ様から駄目な点を指摘されてしまいました。

ここ最近優しくして頂いていたからか、心構えが出来ていなかった様です。”鈍感”くらい、今迄に比べたら大した嫌味では無いのですが、かなり堪えてしまっています。

ですがいつもと少し違っていました。今日の私は哀しみに沈むよりも、反抗心が芽生えて来てしまったのです。
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