クールな公爵様のゆゆしき恋情
「ラウラ、リュシオンの事をどう思っているんだ。答えてくれ」

なぜアレクセイ様はリュシオンに拘るのでしょうか? 疑問は晴れませんでしたが、私はアレクセイ様の問いかけに答えました。

「リュシオンの事は好きです。私にとっては一番頼りにして、信用を置いている騎士です」

その瞬間、アレクセイ様の瞳に激情が浮かぶのが見えました。

けれどそれは一瞬で、私は声を上げる暇も無く、アレクセイ様の腕の中に閉じ込められてしまったのです。

固い胸板に押し付けられる様に抱え込まれて、私は苦しさに呻きました。

何が起きたのでしょうか。アレクセイ様に言葉で傷つけられた事は何度も有りましたけど、力で言いなりにされた事は有りません。

押しのけ様としても、アレクセイ様の腕の力は私に比べあまりにも強く、びくともしないのです。

どうすればいいのでしょうか。こんな姿他人に見られる訳にはいきませんから、大声を出して助けを求める訳にもいきません。

「アレクセイ様、離してください」

そう訴えましたが、アレクセイ様が聞き入れてくれる事は有りませんでした。

それどころか、私の身体を更にきつく抱いて、苦し気に言うのです。
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